ソーマプライア着々再生 3人から、目標の世界一へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
プロビーチサッカークラブ「ソーマプライア沖縄」の選手や監督ら=19日、西原町東崎の西原きらきらビーチ

 8日まで鳥取県で開催されたビーチサッカーのJFA第14回全日本大会でソーマプライア沖縄が準優勝した。2016年まで同大会で優勝3回、準優勝6回の強さを誇ったが、約3年前に多くのメンバーが抜け、最も少ない時は河原塚毅監督と齋藤巧と坪谷亮太の3人まで減った。それでも新メンバーの加入と「ファンが離れずに応援し続けてくれたおかげ」(齋藤)で、再び最前線を走るチームに仕上がりつつある。

 練習場所は西原きらきらビーチ。ウォーミングアップの後、試合形式の練習を動画で見返し、改善点を見直す。練習は週に5、6回。若い選手が多いが、温暖な環境を味方にする河原塚監督は「うちほど練習しているチームはない。技術はまだまだだが、体力と走力がある」と胸を張る。全国大会では技術を補う団結力と体力で決勝まで駆け上がった。失うものがない選手たちの貪欲さとひたむきさは他チームから高く評価されたという。

練習試合で激しく競り合うソーマプライア沖縄の齋藤巧(中央)(田中芳撮影)

 04年に設立し、05年のFIFA第1回ワールドカップには日本代表に8選手が招集され、ベスト4に貢献した。その後も好成績を収め認知度も上げたが、競技に対する価値観の違いなどから多くの選手が抜けた。

 3人からの再スタートは坪谷にとっては入団直後の出来事だった。腐ることなく齋藤と個人能力を上げる練習を続けた。試合数は激減したが、知人らが駆けつけ練習の相手をしてくれた。坪谷は「当時助けてくれた人たちのおかげで今がある」と感謝は尽きない。坪谷の努力を河原塚監督も認めており「坪谷のキックには力がある」と、フリーキックを任せている。

 前体制で若手だった齋藤は必然的にけん引役に。「自分がやりたいサッカーだけでなく、味方をサポートしチャンスをつくる」。人一倍の運動量で常に好位置を見つけ、攻守の中心となる。9月末に兵庫県である国際親善大会の代表にも選出された。「全国に比べ技術はまだまだ。代表でシュートやパスの質の違いを学び、吸収したい」とさらなる進化を目指す。

 全国準優勝にも河原塚監督は「実力以上の結果で、ここから急上昇という気持ちになると、その先に落ちる場面が来る。目標とする世界一まで、積み重ねていく日々を大事にするしかない」と隙はない。

 県内13カ所で続けるスクールでは3歳から小学6年の約300人を指導する。設立16年目で、指導してきた子は高校生になった。河原塚監督は「目指すは50年、100年続くチーム。ソーマの理念は感動の共有。設立時から続けてきたことを変えず、積み上げていきたい」と、確実に世界一への歩みを進める。
 (嘉陽拓也)