米軍嘉手納基地の海軍駐機場移転は騒音被害の低減策として1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告に基づき合意された。
しかし移転後もたびたび米軍はエンジンを稼働して旧駐機場を使い続けている。「必要なら使用できる」と主張する米軍に日本政府は使用中止を求めず、地域住民の願った負担軽減策はなし崩しでほごにされている。旧駐機場の使用が常態化すれば、負担軽減どころか基地機能の強化になる。
駐機場は、周辺地域への騒音被害を低減するため、嘉手納町の住宅地に近かった旧駐機場から沖縄市側へ移転した。日本政府が約157億円を支払った。2017年1月に米軍は新たな駐機場を使い始めたが、旧駐機場も使い続けた。後に、旧駐機場に残っている整備格納庫など残余施設を継続して使用することを日米で合意していたことが明らかになった。
18年6月に旧駐機場を使用した際、米軍は防衛局を通じて「申し訳なく思っている」と陳謝した。だが、その後「基地司令官の事前承認が必要」と発表し、承認を得れば使用できることとした。自ら「お墨付き」を与えた形だ。
県や周辺市町村は旧海軍駐機場の使用を「SACO最終報告の趣旨に明らかに反する」と批判し、使用中止を求め続けている。 (明真南斗)