玉城デニー知事 契約前業者と会食 島袋氏指摘に「私的な会」


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玉城デニー知事

 玉城デニー知事が今年5月、自身の政策の推進に向けて設置した「万国津梁(しんりょう)会議」の設置支援業務を受託した事業者と、正式な契約前に会食していた。島袋大氏(沖縄自民)が30日の県議会9月定例会で指摘し、玉城知事が認めた。受注した山形県の社団法人の沖縄営業所所長は玉城知事の支持者で、島袋氏は「最初から受託することが決まっていた出来レースではないか」と批判した。玉城知事は「私的な懇親会だった。契約がいつかは担当部局に任せており、関知していなかった」と答弁し、問題はなかったとの見解を示した。

 同事業は公募で、6社が説明会に参加し、東日本大震災で沖縄に避難している被災者支援などで沖縄と関わりのある山形県の社団法人1社だけが企画提案を行い、受注した。受注額は2407万円。支援業務は共同企業体で実施しており、県内企業なども構成員に入っている。

 県職員の倫理規定では業者との会食は禁止されている。ただ、知事など特別職には適用されておらず、さらに県職員であっても個人的友人関係に基づく私生活の行為で、職務に関係のない会食などは認められている。金城弘昌総務部長は「知事は公務以外で政治家として幅広くさまざまな人と付き合う。その中には県の業務を担う業者や補助を受ける団体等も含まれていると思う」と述べ、倫理規定に反する会食ではなかったとの見解を示した。

 県職員も同席していたが、金城総務部長は、万国津梁会議支援業務の選定の事務を担当した文化観光スポーツ部の職員ではなかったことに触れ「利害関係のある職員はいなかった」と述べた。

 山形県の社団法人は本紙の取材に対し「職務倫理には気を付けている。公募の段階で県に企画提案しただけで、知事に万国津梁会議の委託業務について事前に相談したことはない」と述べた。