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震災後世代 防災に一役 駒ケ嶺小の18人 町に宣言書提出へ 福島民報 提供


震災後世代 防災に一役 駒ケ嶺小の18人 町に宣言書提出へ 福島民報 提供 防災のリーダー役になると誓う駒ケ嶺小の6年生。動画作成にも取り組んでいる
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東日本大震災の教訓に学び、災害への備えを怠りません―。新地町の駒ケ嶺小の6年生は、自ら地域防災の担い手になる決意を「宣言書」にまとめ、1月にも町に提出する。震災後に生まれた子どもたちが、普段から家庭内で災害用の備蓄品を確認したり、災害が万が一、起きてしまった時には困っている人に手を差し伸べたりすると約束する。2021年と22年に起きた本県沖を震源とする最大震度6強の地震でも町は大きな被害を受けた。防災のリーダーとして、地域の安全安心の確立に貢献していく。
 児童18人が宣言書に盛り込む内容を話し合い、決めた。避難所までの経路の確認・把握など普段の心構えや、自分ができる手伝いの内容を盛り込んだ。
 児童は今年度、総合的な学習の時間などを使って震災と東京電力福島第1原発事故について調べてきた。未曽有の大災害は生まれる前の出来事だ。家族や地域の人から当時の様子を聞き、新聞や町の広報誌から資料を集めた。町内の死者・行方不明者は119人。迫る津波からの必死の避難、満足に手に入らない食料品、放射線への不安…。今の生活からは想像できない現実があった。
 大人に守ってもらい、復興の進む町で生活できる幸せをあらためてかみしめた。学びの成果を広く発信し、率先して行動できる人間になろうと、宣言書の作成を決めた。21年2月と22年3月に起きた最大震度6強の本県沖地震に遭遇し、自然の脅威や被災後の不便さを身をもって感じた経験も踏まえた。
 横山みりあさん(12)は本県沖地震の際、何をしたらいいのか分からず頭が混乱したという。1年間の学びを通し「日頃から準備をしっかりすれば、落ち着いた行動を取れるはず」と心境が変化した。
 児童は下級生に災害時の行動を伝える動画作成にも取り組んでいる。家具の固定や非常食の用意、高台の避難など、注意点や準備を紹介している。まずは自分の身を守るよう、強く訴える。3月に全校児童向けに上映する予定だ。
 五十嵐隆之校長は「大切な命を守る意識が子どもたちの中で高まっていると感じる」と成長に目を細めた。
 ■児童作成宣言書の主な項目
【避難時】
・避難の場所や仕方を家族と相談する
・必要な物を確認する
【避難所】
・物を配る手伝いをする
・小さい子に食べ物を優先させる
・困っている人に声をかけ、手助けする