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熊本日日新聞 提供 主要社殿の復旧完了 阿蘇


熊本日日新聞 提供 主要社殿の復旧完了 阿蘇 「竣工祭」があった阿蘇神社の楼門=7日午後0時45分ごろ、阿蘇市(石本智)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2016年の熊本地震で甚大な被害を受けた阿蘇市一の宮町の阿蘇神社で7日、国指定重要文化財の楼門の「竣工(しゅんこう)祭」があった。被災から7年8カ月で、他の国重文5棟や拝殿といった主要社殿の復旧工事が完了した。
 江戸後期に建立された国重文の建造物は、地震で楼門が倒壊したほか、三つの神殿と楼門脇の神幸(みゆき)門と還御(かんぎょ)門も柱が傾いたり壁板が割れたりした。国重文以外でも1948年築の拝殿が倒壊するなどした。
 楼門は、解体後に壊れた部材を新材で継ぎ合わせるなどして建築当時の部材を72%再利用。鋼材を組み込んで耐震補強も施した。他の国重文5棟は部分解体して耐震工事も実施し、2019年3月に復旧工事を終えた。拝殿は21年7月に新築された。
 国重文6棟は国や県、市の補助金を使い再建。拝殿などの建設は寄付者が税の優遇措置を受けられる「指定寄付金制度」も活用した。24年度中に塀や排水施設など残りの工事を終える。総事業費は約25億円。
 楼門の竣工祭には、氏子や行政、工事関係者ら約260人が出席。神事の後、氏子らが農耕祭事で披露する祝いの歌「御田歌(おんだうた)」を奉納し、出席者らが通り初めして再建を祝った。
 阿蘇惟邑(これくに)宮司は「復旧を遂げた楼門を見ると、さまざまな思いが込み上げる。神社を後世にしっかりと守り伝えていく」。佐藤義興阿蘇市長は「阿蘇神社は阿蘇の歴史を語るシンボリックな存在。幾多の困難を乗りこえ、在りし日の姿がよみがえり感無量」と話した。  (植山茂、小田喜一)