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供託金差し押さえ申請 日立造船に勝訴の元徴用工


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ソウル共同】韓国最高裁で日立造船の敗訴が確定した元徴用工訴訟で、原告側は10日、同社が裁判所に預けていた供託金の差し押さえを申請した。原告側弁護士が11日明らかにした。賠償金として受け取るための手続きとしている。受領が認められれば、一連の元徴用工訴訟で敗訴した日本企業の資金が原告側に渡る初の事例となる。
 1965年の日韓請求権協定で解決済みだとする日本政府の立場に反することになり、日韓関係改善の動きに影響を及ぼしそうだ。原告側弁護士によると、供託金は日立造船が韓国内の資産差し押さえなど強制執行を防ぐため、二審判決後の2019年に預けた6千万ウォン(約660万円)。同社は「今後どう対応するかはコメントできない」としている。
 一方、韓国最高裁は11日、日本統治期に八幡製鉄所で強制労働させられた元徴用工の遺族が日本製鉄(旧新日鉄住金)に損害賠償を求めた訴訟の上告審で、同社の上告を棄却し、約1億ウォンの支払いを命じた一、二審判決が確定した。同社への賠償命令確定は18年10月と23年12月に続き3件目。
 韓国政府は、新たに勝訴が確定した原告についても、昨年3月発表の解決策に基づき政府傘下の財団が賠償を肩代わりする方法で対応する方針。