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子の声 漏らさず聴いて 社会的養護、関係者が議論 児童養護研究大会 「見放されない」体験大事


子の声 漏らさず聴いて 社会的養護、関係者が議論 児童養護研究大会 「見放されない」体験大事 子どもの意見表明や権利について学ぶ児童養護施設の関係者ら=1日、那覇市の県総合福祉センター
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 第40回県児童養護研究大会が1日、那覇市の県総合福祉センターで開かれ、児童養護施設や県里親会の関係者らが「こどもの声を尊重する社会的養護の実現に向けて」をテーマに意見を交わした。
 両親が児童養護施設職員のため幼いころから入所児童と深く関わってきた、青山学院大学コミュニティ人間科学部の横堀昌子教授が「こどもの『声』を聴く教育実践とは」と題して講演した。
 横堀教授は子どもの意見表明を大事にするアドボカシー(権利擁護)が広く語られる現状を評価しつつ、「声には非言語の形もあり、姿や立ち振る舞いなど体の全てで伝えている」と説明。本音は関係機関による支援のはざまで漏れることもあるため「大人の連携がより必要」と語った。
 意見表明には「いやだ」を受け止めることも含まれるが、一時保護などで喪失感を抱く子どもには全てを実現できない実情を説明しつつ、大人の責任でそのニーズに応えていくことを説明。社会的養育を巣立った後でも「見放さない人がいたことが子どもの原体験になるようにするのが私たちの宿題」と、伴走型支援を強調した。
 講演のほかには、県里親会による「アドボカシー」の取り組みや、児童養護施設の入所児童への食育に関する実践発表などもあった。 (嘉陽拓也)