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「人権と思いやりは別物」 国際専門家が那覇で講演 基地負担が集中する沖縄にアイデアも


「人権と思いやりは別物」 国際専門家が那覇で講演 基地負担が集中する沖縄にアイデアも 国際社会から見た日本の人権について講演する英エセックス大フェローの藤田早苗さん=12日、那覇市の県立博物館・美術館
この記事を書いた人 Avatar photo 南 彰

 国際人権の専門家で、英国エセックス大学人権センターフェローの藤田早苗さんが来日し、那覇市で講演会を開いた。藤田さんは「日本では『人権=思いやり』と教えられているが別物だ」と指摘。国際基準からずれている日本の人権教育や政府の対応を改める必要性を訴え、基地負担が集中する沖縄に国連人権機関を置くアイデアも披露した。


 藤田さんは英国在住で、2013年に強行された特定秘密保護法をきっかけに、日本の人権問題の改善を国連などに働きかけている。来年2月まで日本各地で講演や講義をする予定で、その第1弾として12日夜に那覇市の県立博物館・美術館で講演した。人権について、「生まれてきた人間すべてに対して、その人が能力や可能性を発揮できるように政府がそれを助ける義務がある」と国連では掲げていることを説明。「日本では『人権』と検索すると、『思いやりの花を育てよう』などと思いやりのオンパレードだが、『政府に要求する権利がある』と教えることが本来の人権教育だ」と述べた。

 さらに、日本政府が国連人権理事会の特別報告者から表現の自由などについて勧告を受けても、「法的拘束力がないので従う義務はない」と無視している対応を問題視。「勧告は国際人権基準に基づいた判断で、内容は拘束力がある」と指摘し、「メディアも政府の反論で(報道を)終わらせず、政府の反論が正しいのか、きちんと追及すべきだ」と訴えた。


 藤田さんは15年、翁長雄志前知事が国連人権理事会に出席したときも現場にいた。「翁長さんが、安全保障は大事だが、そのために松島湾を埋め立てるのか、と話していたことがとても印象に残った」という。その後、学生相手の講義や勉強会で「沖縄に基地負担を押しつけている状態は不平等だ。みんなで考えていかないといけない」と呼びかけてきた。藤田さんの活動は市民の寄付で支えられている。講演や支援に関する連絡は「日本の表現の自由を伝える会」、電話052(953)8052(全国市民オンブズマン連絡会議気付)。 

(南彰)