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ウルトラマンの脚本家・金城哲夫の思い未来へ 生誕85年で手書き資料をデジタル化 出身地・南風原町のまちづくり事業


ウルトラマンの脚本家・金城哲夫の思い未来へ 生誕85年で手書き資料をデジタル化 出身地・南風原町のまちづくり事業 「吉屋チルー物語」の台本の複製本。推敲の様子を読み取れる貴重な資料=14日、南風原町本部の町観光協会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【南風原】「ウルトラマン」シリーズの脚本を手掛けた金城哲夫さん(1938~76年)の生誕85周年を迎え、出身地の南風原町が手書き台本や取材ノートなど貴重な資料を残そうと、デジタル保存し複製本の作成を始めている。担当者は「金城哲夫の人柄や推敲(すいこう)の様子を知ることができる資料で、南風原町の宝だ。しっかりと保存し後世に残していきたい」と話す。

 南風原町観光協会の「ヒーローのまちづくり事業」の一環で、2021年度に始まった。21年度は町施設の南風原文化センター内に防湿庫を新設、家族の協力の下、生家に保管されてきた資料から100冊程度を移動させた。22年度には沖縄芝居の資料を中心に、特に貴重な19冊を複製した。

 その中の一つは、大学卒業後に一時帰省して自主制作した映画「吉屋チルー物語」(63年)の台本だ。複製本は和紙を使い、原本の手触りや色合いなどを再現する。台本には書き直しの跡も見られ、文を練る様子を垣間見ることができる。

 生家である料亭「松風苑」の支配人で、弟の和夫さん(76)は「町の財産として保管してもらい、ありがたい。資料が哲夫の仕事を知る機会になればうれしい」と話す。

 松風苑の敷地内には、当時の机や本棚などが残された書斎があり、資料館として希望者に公開している。円谷(つぶらや)プロ時代や帰郷後の沖縄芝居の資料なども展示されている。資料館を管理する和夫さんは「県外、海外からも見学者が来る。哲夫の思いを受け取っているようだ。影響力のある仕事をしていたのだと改めて実感する」と話した。

 南風原町観光協会の金城朋枝さん(40)は「金城哲夫の人柄を知るにつれ、その魅力に引かれる。生誕85周年の本年度はさまざまなイベントを企画する。町のヒーローを多くの人に知ってもらいたい」と話した。

  (岩崎みどり)

金城哲夫さん

23、24日に記念イベント

 「金城哲夫生誕85周年記念スペシャルイベント」(町観光協会主催)が23、24の両日、南風原町立中央公民館で開かれる。原本を含む貴重な台本を間近に見ることができる金城哲夫展がある。

 23日は上映会「吉屋チルー物語」&トークショーが午後2時から、上映会「ウルトラマン」第8話「怪獣無法地帯」・「金城哲夫アーカイブ」上原正三編&トークショーが午後6時から開かれる。24日は「ウルトラマンブレーザーショー」が午前11時と午後3時の2回行われる。

 いずれも観覧無料。上映会とショーは人数に限りがあり、整理券を配布する。問い合わせ・整理券の受け取りは町観光協会、電話098(851)7273(午前9時~午後5時、土日祝休み)、はえばる観光案内所、電話098(882)6776(午前10時~午後3時、水曜定休)。