有料

「知る権利」規定を尊重 県条例、目的に沿う判決


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 研究目的で今帰仁村の「百按司(むむじゃな)墓」などから持ち出された琉球遺骨に関する情報開示を求める訴訟は、原告の訴えが一部認められた。開示の実現性は低いとの指摘もあったが、那覇地裁判決は県情報公開条例の本来の目的に沿って、被告の県教育委員会に情報開示を命じた。
 同条例7条7号ウは、調査研究の事務に関して「公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ」がある場合、情報不開示を可能とする。原告側代理人の三宅千晶弁護士によると、専門家から「この理由で不開示にされると、訴えても難しい」と言われたという。
 しかし、判決は同条例1条の「県民の知る権利を尊重し、県政の諸活動を県民に説明する責務が全うされるようにすることが重要である」との規定を尊重した。情報公開することで、遺骨の調査研究に支障が及ぶといった被告側の主張を認めなかった。
 訴訟を通じて被告側は、途中まで不開示だった遺骨の番号や性別を「争点整理」のために開示。三宅弁護士は「理由がなく、違法に不開示にしたことを認めたに等しい」と指摘した。
 判決は遺骨の調査に係る出張先が書かれた予算関連資料などの黒塗りは不開示のままとした。県教委に移管された遺骨は頭蓋骨で63体ある。