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琉球遺骨の返還へ、京大や県教委に対話呼び掛け 訴訟の報告集会 権利勝ち取る大切さを確認


琉球遺骨の返還へ、京大や県教委に対話呼び掛け 訴訟の報告集会 権利勝ち取る大切さを確認 ニライ・カナイぬ会による琉球遺骨情報公開訴訟の判決を受けて開かれる報告集会=30日、那覇市の県立博物館・美術館講座室
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 戦前、研究目的で今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」などから持ち出された琉球遺骨の返還を求める団体「ニライ・カナイぬ会」は9月30日、県教育委員会に関連文書の情報開示などを求めた訴訟で県教委に一部開示を命じた那覇地裁判決を受け、那覇市の県立博物館・美術館で報告集会を開いた。参加者は一連の遺骨返還運動で、権利を勝ち取る大切さを確認した。

 原告側代理人の三宅千晶弁護士が判決内容を解説し、三宅俊司弁護士は不開示だった遺骨が持ち出された場所が開示されることに「実態を明らかにできれば、大きな成果につながる」と強調した。

 会の松島泰勝共同代表=龍谷大教授=は、京都大に遺骨返還を求めた訴訟で遺骨が地元へ戻る権利を指摘した大阪高裁判決を紹介。一連の判決を受け、県教委や京都大に対話を呼び掛けた。

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表でもある会の具志堅隆松共同代表は、持ち出された遺骨が「採集」されたと表現されることに、「モノに対する言葉。人間に対する尊厳がない」と指摘した。遺骨返還訴訟で鑑定意見書を提出した沖縄近現代史家の伊佐眞一さんは、県教委の不開示の背景に「専門家の意見が大きい」とみて、調査研究に携わる人物らの責任を追及した。

 会の仲村涼子共同代表は一連の問題について「日本の歴史観や人権感覚ではなく、国際スタンダードにのっとって植民地主義を批判する視点から考えなければならない」と訴えた。百按司墓に関わりがあるとされる第一尚氏の子孫、亀谷正子共同代表は「先祖の遺骨を取り返すというより、わったー琉球の先人たちの遺骨を取り返したい思いが強い」と力を込めた。

 (金良孝矢)

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琉球遺骨 植民地主義問う 開示訴訟 原告ら 一部勝訴報告


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 戦前、研究目的で今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」などから持ち出された琉球遺骨の返還を求める団体「ニライ・カナイぬ会」は9月30日、県教育委員会に関連文書の情報開示などを求めた訴訟で県教委に一部開示を命じた那覇地裁判決を受け、那覇市の県立博物館・美術館で報告集会を開いた。参加者は一連の遺骨返還運動で、権利を勝ち取る大切さを確認した。
 原告側代理人の三宅千晶弁護士が判決内容を解説し、三宅俊司弁護士は不開示だった遺骨が持ち出された場所が開示されることに「実態を明らかにできれば、大きな成果につながる」と強調した。
 会の松島泰勝共同代表=龍谷大教授=は、京都大に遺骨返還を求めた訴訟で遺骨が地元へ戻る権利を指摘した大阪高裁判決を紹介。一連の判決を受け、県教委や京都大に対話を呼び掛けた。
 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表でもある会の具志堅隆松共同代表は、持ち出された遺骨が「採集」されたと表現されることに、「モノに対する言葉。人間に対する尊厳がない」と指摘した。遺骨返還訴訟で鑑定意見書を提出した沖縄近現代史家の伊佐眞一さんは、県教委の不開示の背景に「専門家の意見が大きい」とみて、調査研究に携わる人物らの責任を追及した。
 会の仲村涼子共同代表は一連の問題について「日本の歴史観や人権感覚ではなく、国際スタンダードにのっとって植民地主義を批判する視点から考えなければならない」と訴えた。百按司墓に関わりがあるとされる第一尚氏の子孫、亀谷正子共同代表は「先祖の遺骨を取り返すというより、わったー琉球の先人たちの遺骨を取り返したい思いが強い」と力を込めた。 (金良孝矢)