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辞職で幕引きではない


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政務活動費の不正受給や不動産コンサルタント会社代表から現金4千万円を受け取ったことを認めた久高友弘前那覇市議会議長の辞職願が20日、許可された。一連の金銭授受疑惑に対して自ら責任をとった格好だが、受領した4千万円がどのように使われたかなど疑惑は残ったままだ。説明責任を果たしておらず、今回の辞
職で幕引きとはならない。
 ただ一方で、久高氏が議員の身分を失い、一般市民となる中、議会として真相究明に向けてできることは限られる。そのため、代表者会議と、その後に行われた議会運営委員会では、一部議員から辞職願を許可した野原嘉孝議長への批判的な意見も出た。野原氏は最高裁判例などを持ち出して、正当な理由なく辞職願を拒否できないと説明したが、久高氏に説明責任の義務を負わせるためにも辞職願の取り扱いについて議論の余地があったのではないか。
 久高氏の金銭授受疑惑を発端に今年7月に可決、施行された政治倫理条例第2条では、議員が政治倫理基準に違反する行為があるとの疑惑を持たれたときは、自ら誠実な態度をもって、率先して事実を明らかにし、説明を行い、疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にしなければならない―とある。条例を実効性あるものにし、市民の負託に応えるためにも議会として真相究明に向け、一層の努力が求められる。 (吉田健一)