沖縄科学技術大学院大学(OIST)は24日、本島沿岸で新たなヒメイカ2種を発見したと発表した。OIST海洋気候変動ユニットの研究者ジェフリー・ジョリーさんをはじめとするOIST研究者と、日本とオーストラリアの大学研究者らがDNAの比較などを通して新種であることを確認。23日付で科学誌「マリン・バイオロジー」に掲載された。
新種は、「リュウキュウヒメイカ」と「ツノヒメイカ」で、学名はそれぞれ「イデイオスピウス・キジムナー」「コダマ・ジュジュツ」とし、日本や沖縄の伝承にちなんで命名された。
調査で確認したヒメイカは、2種とも体長が最大12ミリ程度と小さく、見つけづらいという。リュウキュウヒメイカは、冬にしか姿を見せず、浅瀬の藻場で海藻や海草にくっついて生息している。体が赤いのが特徴で、沖縄の森にすむとされる赤毛の精霊「キジムナー」から学名をとった。
ツノヒメイカはサンゴ礁に生息する。丸い顔が森にすむ精霊「木霊」を思わせ、小さな腕で相手と組み合う捕食行動が「柔術」を連想させたという。
ジョリーさんは、海水温上昇やサンゴ白化でヒメイカの生息が危ぶまれていると危惧する。その上で分類学の重要性について「種を命名し、その特徴を明らかにすることで生物の多様性を浮き彫りにし、私たちが知らないことがまだまだたくさんあることに気付かせてくれる」とコメントした。
(慶田城七瀬)