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建設阻止 諦めない 市民「未来の子のため」 裁判所前に300人、知事後押し


建設阻止 諦めない 市民「未来の子のため」 裁判所前に300人、知事後押し 辺野古代執行訴訟の第1回口頭弁論を前に開かれた集会で、玉城デニー知事と共に気勢を上げる人たち=30日午後1時13分、那覇市楚辺(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 代執行訴訟の第1回口頭弁論直前の30日午後1時ごろ、裁判所前の城岳公園には裁判に臨む玉城デニー知事を激励する集会(オール沖縄会議主催)が開かれた。300人を超える市民が駆け付け、「政府の代執行許さんぞ」「沖縄の民意を守ろう」などと声を上げた。訴訟は即日結審となったが、市民らは新基地建設の設計変更申請を承認しなかった知事の決断を支持し、諦めることなく基地建設反対を訴え続けていく決意を示した。
 集会には玉城知事も駆け付けた。知事が「いばらの道を堂々と踏みしめて未来のために道筋をつくっていかなくてはならない」と訴えると、歓声や拍手が飛び、法廷に向かう知事を後押しした。
 法廷から知事が出てくるのを待つ間、公園では各地から参加した市民らが代わる代わるマイクを持ち、新基地建設阻止に向けた決意表明し、キャンプ・シュワブゲート前などで歌い継がれてきた「今こそ立ち上がろう」「沖縄を返せ」などを合唱した。
 浦添市から参加した元調理師の辺土名武美さん(75)も思わずマイクを握った。沖縄の基地負担の現状を教室の掃除当番にたとえ「裁判長に問いたい。クラスの生徒1人に掃除が押しつけられていることは善なのか悪なのか」。自身は海と山に囲まれた大宜味村で育った。「海は沖縄の財産。戦争するために使われるのには反対だ」と語気を強めて語った。
 有機フッ素化合物(PFAS)による水質汚染問題に取り組む「宜野湾ちゅら水会」などは「世界も辺野古もウチナーンチュの愛で包もう」と書かれたプラカードを掲げ、基地建設反対を訴えた。同会代表の町田直美さん(68)は「まさに人権が問われている。基地で平和はつくれない。未来の子どもたちのためにわたしたちは諦めない」と語った。
 裁判を傍聴したオール沖縄会議共同代表の高里鈴代さんは即日結審したことに対して「司法が死んでいる。沖縄のデモクラシーがつぶされる」と批判した。裁判終了後に裁判所前で一人、「新基地建設NO」のプラカードを掲げていた70代男性は「裁判所には後世に恥ずかしくない判決を出してほしい」と訴えた。(吉田健一、慶田城七瀬)