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裁判員裁判「関心を」 10代向け書籍出版


裁判員裁判「関心を」 10代向け書籍出版 「10代のための裁判員裁判」
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 成人年齢の引き下げに伴い、今年初めて10代の約3700人が裁判員候補者に名を連ねた。制度開始から15年となる来年分の候補が通知される時期を前に、改めて裁判員裁判に関心を持ってもらおうと、このほど書籍「10代のための裁判員裁判」が出版された。若い世代が手に取りやすいよう、全国の学校図書館などに置かれている。
 「もしかして僕が選ばれたってこと?」「どうしよう…」。書籍では、実際の手続きの流れを漫画やイラストで描写。高校3年の生徒が最高裁からの候補者通知を受け取って慌てる場面から始まり、裁判員経験者の話を聞き理解を深めていくストーリーだ。
 編集を担った「旬報社」(東京)の川嶋みくさん(32)は「多感な時期で、大人が務める以上に負担は大きいはず。自分自身、制度をよく分かっていなかったので、逆に中高生向けに分かりやすく作れるのではないか」と考え、企画した。
 腐心したのは、どうやって関心を持ってもらうか。実際に裁判を傍聴したり、裁判員経験者の体験談を聞いたりして、イメージが湧きやすいような構成に努めた。法律・司法制度に関する知識や、経験者の交流団体の一覧も掲載した。
 監修した牧野茂弁護士は「他人の人生を決めてしまって良いのかという不安やためらいは、知識や社会経験が乏しい10代だと大きいだろう。書籍で実際の経験も知って、参加する意義ややりがいがあると感じてほしい」と話した。