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関東大震災 沖縄女性被害 弱者に大きなしわ寄せ 江刺昭子さん(女性史研究者・ノンフィクション作家)


関東大震災 沖縄女性被害 弱者に大きなしわ寄せ 江刺昭子さん(女性史研究者・ノンフィクション作家)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本の近代の発展の下支えをしたのは低賃金の女性労働だ。特に製糸・紡績の繊維業はひどくて、募集人が地方の貧しい村をまわって女性労働者を募集し、小学校を卒業するかしないかの年齢の子どもを前借金で工場に送り込んだ。

 前借金は戸主が受け取り、娘は借金を返すまで寄宿舎から外出できないなど「籠の鳥」状態だった。第1次世界大戦後の不況が経済基盤の脆弱(ぜいじゃく)な沖縄や東北地方で顕著になり、そのため娘たちが紡績へ売られ、さらに震災が起こって娘たちが犠牲になった。

 経済構造は戦後も同じで、戦後の高度経済成長を一番下で支えたのは低賃金の女性のパート労働だ。今も基本的に変わっていない。身分の不安定な非正規労働者は圧倒的に女性が多い。そういう状況の中で新型コロナウイルスのような、一種の災害が起こると、立場の弱い者に最も大きくしわ寄せがいく。