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偽サイト判断 AI活用 警察庁方針 「フィッシング」被害急増


偽サイト判断 AI活用 警察庁方針 「フィッシング」被害急増 サイトの真偽判断の流れ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 偽サイトを通じてIDやパスワードなどを盗み取る「フィッシング」と呼ばれる手口の被害が急増していることを受け、警察庁が、サイトの真偽を判断する業務に生成人工知能(AI)の活用を検討していることが9日、分かった。偽サイトに関する情報は、警察庁が民間に提供して被害防止に役立てられており、判断を効率化し被害軽減につなげたい考えだ。
 警察庁によると、実現すれば庁内会議などの文字起こしや翻訳以外で、業務に生成AIを使うのは初めて。9日に金融機関や電子商取引(EC)の業界団体幹部ら8人を集めた1回目の検討会を開き、キャッシュレス社会でのAI活用を含めた犯罪対策を議論。年度内に報告書をまとめる。
 大手EC事業者がそれぞれ保有するクレジットカードの不正取引情報を、警察に集約できないかなども検討する。
 警察庁の露木康浩長官は9日の会見で、フィッシングサイトを通じてIDなどが盗まれ、不正利用された被害額が過去最悪ペースで増加しているとし「官民連携をさらに進めて一歩踏み込んだ対策が必要だ」と述べた。
 警察庁は現在、全国の警察などを通じ偽物と疑われるサイトの情報を集約。職員数人でドメイン名などを確認し真偽を判断している。一方、国内のセキュリティー企業は生成AI「チャットGPT」を使って真偽を段階的に評価する仕組みを研究しており、同庁が活用を検討している。
 フィッシング 金融機関などに成り済まして電子メールやショートメッセージを送り付け、正規のものに酷似したウェブサイトに接続させてIDやパスワードを詐取する行為。英語で「Phishing」とつづる。手口が巧妙化しており、盗んだ情報を基にインターネットバンキング利用者の預金が別口座に不正送金される事件も急増している。