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「押し買い」金高騰で増加 注意呼びかけ


「押し買い」金高騰で増加 注意呼びかけ 1グラム当たりの金価格の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 個人宅を訪れて貴金属を強引に買い取る「押し買い」の被害が増えている。金の価格の急上昇が背景にあるが、ロシアのウクライナ侵攻や緊迫するパレスチナ情勢から、安全資産とされる金の需要は高止まりする見通しだ。独居の高齢者が狙われるケースが多く、警察や消費生活センターが注意を呼びかけている。
 長崎県で1人暮らしをする認知症の80代男性は昨年夏、妻の形見の指輪や貴金属計7点を大阪府の訪問業者に3万円で買い取られた。室内を物色された跡に気付いたヘルパーらが業者に連絡し、鑑定の根拠を示すよう求めたが拒否された。
 地金(じがね)大手の田中貴金属工業(東京)の金の店頭販売価格は10月30日、過去最高の1グラム当たり1万653円まで上がった。円安やウクライナ侵攻、10月以降の中東情勢の不安定化により上昇傾向が続くとの見方が強い。
 国民生活センターによると、4~10月に寄せられた押し買いの相談は約4500件で、昨年同期比の約1.2倍に増えた。担当者は「2019年ごろからの金高騰と連動している」と分析する。
 相談の8割近くは高齢者の被害に関するものだった。押し買いは特定商取引法などに違反する可能性がある。
 福岡県警の捜査関係者は「クーリングオフしようと思っても業者側と連絡がつながる保証はない。強引に家に上がられるなどした場合は、遠慮なく警察に通報してほしい」と話した。