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第2期講座開始 研究者・津多さん説明 沖縄戦「住民無視の作戦」


第2期講座開始 研究者・津多さん説明 沖縄戦「住民無視の作戦」 沖縄戦について説明する津多則光さん=11日、那覇市泉崎の琉球新報社
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「沖縄戦の記憶継承プロジェクト―戦争をしない/させないために」(同プロジェクト実行委員会主催)の第2期講座が11日、開講した。1回目は沖縄戦研究者の津多則光さん(80)が「いま、沖縄戦を深掘りする」をテーマに講義した。沖縄戦を指揮した第32軍の「本質は住民無視の作戦だった」と指摘し、軍と県が県民を戦争に巻き込んだ構造や違法・無法性などを説明した。約40人が参加した。
 沖縄戦で第32軍の牛島満司令官が降伏せず、指揮権を放棄して自決した背景について、津多さんは大本営陸軍部から軍の降伏や「玉砕」を許さない作戦命令を受けていたと説明。終わりのない沖縄戦の原因となったと強調した。
 津多さんは、戦時行政と沖縄戦当時の島田叡知事についても研究を進めている。島田知事は1945年2月、県内15~60歳の男女を、兵員不足を補うため義勇隊として編成したことについて、知事の独断だったと説いた。内務相から45年7月、「独創結成」と評し初の「賞詞」も授与されたという。
 ロシアのウクライナ侵略戦争や「台湾有事」で宮古や八重山地方の住民避難が論じられる中、住民の視点に立った沖縄戦継承の重要性と、今の流れに対する危機感を提起。「今につながっているからこそ歴史を学ぶ意義がある」と訴えた。
 講義は半年間の10回で受講者はフィールドワークなどを通し、沖縄戦について体系的に学び継承について考える。継承プロジェクトは2026年まで実施を予定。実行委には、琉球新報社も創刊130年事業として参加している。(中村万里子)