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「輸血拒否カード」8割所持 エホバの証人 2世信者弁護団調査


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 宗教団体「エホバの証人」の2世信者らを支援する弁護団は20日、親の信仰や教義が背景にある宗教虐待の実態調査の結果を公表した。18歳未満の時に宗教活動に参加した560人の92%がむち打ちを受けた経験があるとし、81%が教団の「輸血拒否カード」を所持していたと回答した。
 弁護団は「組織的な虐待が過去だけでなく現在も続いている」とし、同日、こども家庭庁に調査報告書を提出。宗教虐待を受けている子ども本人や、周りの人が虐待通告しやすい仕組みを作るよう求めた。東京都内で開いた記者会見で田中広太郎弁護士は「児童の時点で人権侵害が始まり、一生涯その影響を受け続けている人がいることを知ってほしい」と話した。
 調査は5、6月にインターネット上で実施。回答者は現在は信者ではない人が大半を占め、30~50代が多く、最年少は15歳だった。一部の人には直接、聞き取りもした。
 親などからむちで打たれた経験があると答えたのは514人。輸血拒否カードを所持していたのは451人だった。交友や交際の制限を受けたことがあるのは93%で、信仰のことを周囲に知られたくないと思っていた人が多数いた。
 輸血拒否に関し弁護団は「カードは教団が配布したものが利用されており、教団が実質的に関与している」と説明した。弁護団は、厚生労働省が昨年まとめた宗教虐待の対応に関するQ&A文書が全国に通知された後も、輸血拒否を強く勧める文書が幹部信者に出されていたと指摘。教団の日本支部に対し、Q&A文書を全ての信者に周知することなどを求めた。
 教団側は「弁護団の主張は、エホバの証人の出版物の中で強調されてきた点と全く異なる。いかなる形の児童虐待も容認していない」とした。