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宝塚に立ち入り調査 西宮労基署、俳優急死で


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)の俳優の女性(25)が9月に急死した問題で、西宮労働基準監督署が22日、労働基準法に基づき、歌劇団に立ち入り調査したことが関係者への取材で分かった。この問題を巡っては、女性の遺族側が「過労死ライン」を大幅に超える長時間労働やパワハラがあったと主張。歌劇団側も安全配慮義務を果たせなかったと謝罪しており、労基署は詳しい実態を調べる必要があると判断したもようだ。
 関係者によると、22日の調査では、労基署職員らが歌劇団側の担当者から契約関連の説明を受けた。今後、劇団員らの働き方を本格的に調べ、法令違反の有無などの確認を進めるとみられる。
 歌劇団の広報担当者は取材に「確認したいという事項を説明した。引き続き指示があれば真摯(しんし)に対応する」と話した。
 遺族代理人の川人博弁護士によると、女性は入団7年目で宙(そら)組に所属。下級生劇団員のまとめ役として演技指導や衣装の準備といった業務に追われ、亡くなるまでの約1カ月間は約277時間の時間外労働があったと推計している。上級生からヘアアイロンで額にやけどを負わされたほか、稽古中に怒号を浴びるなど繰り返しパワハラを受けたとも主張している。
 歌劇団は14日に記者会見し、木場健之理事長が「大切なご家族の命を守ることができなかった」と遺族に謝罪。弁護士らのチームによる調査報告書の概要を公表し、長時間の活動などによる強い心理的負荷があったと認めた。一方で、いじめやハラスメントは確認できなかったと結論付けた。