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危険薬物 警戒心薄く 搬送 目立つ意識障害 大麻由来、事件事故リスク


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国によって大麻類似の成分を含む商品の規制が進む中、その網にかからない「CBD」(カンナビジオール)の使用により、大人だけでなく未成年も救急搬送されている事態が明らかになった。販売店舗では安眠やリラックス効果が強調されているが、救急搬送事例では、たたいても起きないほどの意識障害が起きている。居酒屋やカフェなど日常の中で使用されていることから、医療者らは健康被害が生じる「危険ドラッグ」への警戒心が低くなっている現状に危機感を抱いている。 (嘉陽拓也)(1面に関連)
 規制されていない大麻由来のCBD使用後の搬送事例では、呼びかけたりたたいたりしても起きない意識障害になって搬送される事例が目立つ。入院しても翌日には目覚めて退院するが、南部医療センター・こども医療センター救急科副部長の土屋洋之医師は「路上で倒れてけがしても起きなければ、寒冷地だと凍死するリスクもある。もうろうとした状態で運転すれば事故にもつながりかねない。意識障害により性被害に遭うリスクもあることを知ってほしい」と注意を促している。
 患者への聞き取りでは、効果が実感できず使用を続けた結果、急に気分が悪くなって意識障害につながるなど制御できない事例もあるという。症状も摂取直後や数時間後に出るなどさまざまだ。
 意識障害による救急搬送で医療者が気にするのは、慢性的に搬送件数や受診者が多い夜間救急医療体制への負担だ。意識障害が大麻関連の商品によるものと判断できるまで各種検査を行うほか、入院時は点滴で水分補給しながら、万が一の症状悪化に備えて経過観察を続けるなど人手もかかるという。