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宝塚 21年に労基署勧告 制作サイドも管理不備か


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 宝塚歌劇団(兵庫県宝塚市)が一部スタッフに適用していた「専門業務型裁量労働制」を巡り、西宮労働基準監督署(同県西宮市)から2021年に是正勧告を受けていたことが27日、歌劇団への取材で分かった。歌劇団を巡っては女性俳優(25)が今年9月に急死し、同労基署から立ち入り調査を受けた。労務管理の不備が俳優だけでなく制作サイドでも常態化していた可能性がある。
 専門業務型裁量労働制は、仕事の進め方などを労働者に委ねる19業務を対象に、労使であらかじめ決めた時間を働いたとみなす制度。歌劇団によると、演出助手の休日労働などの取り扱いについて21年9月に指摘され、対策を講じたという。
 一方、遺族代理人の川人博弁護士らは27日、歌劇団側の代理人と面談し「パワハラを否定されたまま合意解決はあり得ない」と伝えたことを明らかにした。22日に立ち入り調査した西宮労基署に対しては「十分に調査し、法令に照らして必要な措置を講ずることを求める」とコメントした。
 遺族側は「過労死ライン」を大幅に超える長時間労働や上級生のパワハラによって自殺したと主張。歌劇団は14日に公表した調査報告書でパワハラは確認できなかったとし、見解の相違について双方の代理人が24日に話し合った。話し合いの中で、川人弁護士らはパワハラを認めないのは到底納得できないと強調。歌劇団側は「報告書に拘泥せず、遺族の主張を真摯(しんし)に受け止め引き続き協議したい」と応じたという。