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「絶対に佐賀に来ないで」 墜落当日、地元向け説明会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 防衛省が陸上自衛隊オスプレイの佐賀空港(佐賀市)配備を計画する佐賀県。屋久島沖で米空軍のオスプレイが墜落した29日は、同県吉野ケ里町の陸自目達原(めたばる)駐屯地に陸自の機体を駐機させ、移駐を見据えた地元関係者向けの説明会を開いていた。「最悪のタイミングで起きた事故」(防衛省関係者)に、出席者らは動揺と驚きを隠せない様子だった。
 「不安と恐怖が募る」。見学を終え、駐屯地を出た下村信広さん(74)=佐賀市川副町=は話した。空港近くの住民の一人として説明会に参加。機体を見た直後に事故を知った。安全への不安などから、佐賀空港への配備には一貫して反対している。「危険な欠陥機なのは明白。絶対に佐賀に来ないでほしい」と語気を強めた。
 説明会はマスコミ各社には非公開で、訓練飛行後に行われた。複数の参加者によると、陸自側は適切に操縦できる制御装置を備えていることや、隊員が訓練を重ねていることを挙げ、「二重、三重に対策を取っている」と
安全性を強調したという。
 佐賀市議会で配備の影響を調査している特別委員会の市議一行も参加。墜落事故を知ったのは、帰路のバスの中だった。車内はざわつき、市議からは「ショッキングだ」などと声が上がったという。黒田利人委員長は「事故は起きず、安全だと思っていたので、びっくりしたのが本音だ」と話す。
 陸自は、千葉県の木更津駐屯地に暫定配備する機体を2025年7月までに佐賀空港に移駐させる計画。駐留のため、空港に隣接した駐屯地を6月に着工し、現在、工事を急ピッチで進めている。
 計画を巡り、県は機体の安全性に問題がないことを確認し、国の配備要請を受け入れた経緯がある。事故から約4時間後、山口祥義知事は県庁で記者団の取材に応じ、「強い関心がある。防衛省はすぐに情報提供をしてほしい」と述べた。佐賀市の池田一善副市長は、防衛省九州防衛局長に対し、速やかな情報提供と安全確保の徹底を求めた。
 陸自は30日、目達原駐屯地でオスプレイの飛行訓練を予定していたが中止した。12月3日には、同駐屯地の創立記念行事でデモ飛行を予定しているが、飛ぶかどうかは未定としている。
 (西日本新聞社提供)