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療養所の未来 在り方考えて 神谷弁護士が講演


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ハンセン病の元患者らの人権救済に取り組んできた沖縄県の神谷誠人弁護士(62)が2日、高松市で講演した。入所者の減少が進むハンセン病療養所の現状や将来の在り方について「当事者と共に多くの人が関わり続け、入所者のいない療養所の未来を考えなければいけない」と訴えた。「ハンセン病問題を考える市民の会」が開催し、約20人が参加した。
 神谷弁護士は元患者らが「らい予防法」(1996年廃止)のもと行われた隔離政策の過ちについて国に損害賠償を求めた集団訴訟を担当した。高松市の国立療養所「大島青松園」の人権擁護委員会でも活動する。
 講演では原告らと関わる中で「人間の力強さ」を知ったと話し、同園に入所する「全国ハンセン病療養所入所者協議会」の森和男元会長の名前を挙げた上で、「差別や偏見の解消のために尽力した元患者たちの思いを継ぎ、伝えていきたい」と力を込めた。
 厚生労働省によると、5月時点で国立療養所の入所者は810人で、平均年齢は87・9歳となった。