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「電子逮捕状」導入へ 被告の遠隔出廷可能に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 法制審議会(法相の諮問機関)の刑事法部会が4日開かれ、刑事事件の捜査・公判手続きをIT化する制度改正の試案が示された。利便性の向上が目的で、捜査機関の逮捕や捜索の際に必要な令状を電子化し、裁判所に出向かなくてもオンラインで請求して発付できるようにする。
 公判では、病気や障害がある被告の通信システムを通じた出廷を認めるなど遠隔参加を拡大する。
 紙の使用や対面のやりとりを原則とする刑事司法が様変わりしそうだ。ただ、日弁連が強く要望していた容疑者・被告と弁護士との接見のオンライン化は盛り込まれず、容疑者らの権利をどう保障するかが課題になる。
 法務省は、来年通常国会への刑事訴訟法などの改正案提出を目指す。2026年度にも一部の運用開始を視野に入れる。
 試案によると、逮捕・捜索令状だけでなく、取り調べ内容をまとめた供述調書も電子化。検察の起訴や、保釈判断などに関する準抗告の手続きは原則、デジタル化する。
 公判は、被告らの出廷を原則とした上で、音声や映像を離れた場所と接続する「ビデオリンク方式」の活用を広げ、被告が病気や障害で出廷が著しく困難な場合などは遠隔参加を認める。性犯罪などに限られてきたビデオリンク方式の証人尋問も、病気などで移動が困難な人たちの利用を可能にする。
 また、捜査機関への告訴・告発もオンラインでできるようになる。社会のデジタル化に対応するため、政府は20年に刑事手続きIT化の方針を決定。法制審が議論してきた。