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被告 動揺なく淡々と 京アニ結審 検察「謝罪は表面的」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「極刑を選択するほかない」とした論告にも、遺族の涙ながらの訴えにも、青葉真司被告(45)は最後まで動揺した様子を見せなかった。「付け加えて話すことはございません」。淡々と述べ、京都アニメーション放火殺人事件の公判が7日、結審した。検察側は被告の謝罪を「表面的だ」と批判し、弁護側は死刑回避を求めた。 (1面に関連)
 被告は6日の公判で「申し訳ない」と述べたが、検察側は論告で「極めて皮相的で慰謝の措置もない」と批判。「地獄さながらの状況にさらされ、被害者の恐怖や絶望感は筆舌に尽くしがたい」などと被害の大きさを繰り返した。
 7日は遺族らが求刑意見を述べる機会もあり、亡くなった寺脇(池田)晶子さん=当時(44)=の夫(51)が「晶子にはアニメーターとしての明るい未来と、子どもと歩む幸せな人生があるはずだった」と涙ながらに語った。被告はほとんど身じろぎせず、目を伏せてうつろな様子だった。
 一方、弁護側の最終弁論が始まると被告は一転して目を見開き、手元のモニターを食い入るように見つめたり顔を上げて弁護人の方を向いたりした。主任弁護人は「被害感情が峻烈(しゅんれつ)だから死刑にすることだけはやってはいけない」と述べ、多角的な視点から判断すべきだと強調した。
 結審後、被告は無表情のまま車いすの上で腰を折り、深々とお辞儀。多くの遺族が厳しい視線を送る中、刑務官の誘導で退廷していった。