有料

妄想の影響 最大争点に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 青葉真司被告はこれまでの公判で、京アニの小説コンクールに落選し、アイデアを盗用されたことが動機だと説明してきた。妄想が刑事責任能力にどのような影響を与えたかが最大の争点になっている。
 完全責任能力があったと主張する検察側は論告で「計画的で極めて危険、誠に残虐非道で社会的影響も大きい」と指摘。動機について「うまくいかない人生の責任を京アニに転嫁した。理不尽そのもので身勝手極まりない」と述べた。「妄想の影響は限定的。極刑回避の理由にはならない」とした。
 弁護側は、被告が「妄想の世界で生き、幻聴などに苦しんでいた」と述べた。極刑を望む遺族らの感情は「十分にくみ取られるべきだ」としつつも、精神障害により善悪の区別や、それに従って行動する能力を失っていたと指摘した。
 被害者参加した遺族らの意見陳述で、亡くなった寺脇(池田)晶子さん=当時(44)=の夫(51)は「最も重い刑罰が科されることを望む」と求め、別の遺族の代理人弁護士は「死刑以外に選択の余地はない」とした。