元陸自隊員３人有罪　五ノ井さん強制わいせつ

　陸上自衛隊郡山駐屯地（福島県）に所属していた五ノ井里奈さん（２４）に覆いかぶさり、着衣越しに下腹部を押し付けたとして、強制わいせつ罪に問われた当時上司の元３等陸曹３人＝懲戒免職＝に、福島地裁は１２日、「卑劣で悪質だ」として、それぞれ懲役２年、執行猶予４年（求刑懲役２年）の判決を言い渡した。３人は渋谷修太郎被告（３１）、関根亮斗被告（２９）、木目沢佑輔被告（２９）で無罪を主張していた。
　陸自を退職した五ノ井さんが実名で被害を告白したことを契機に、防衛省は特別防衛監察を行い、ハラスメントが相次ぐ自衛隊の実態が明らかになった。被害者参加人として毎回出廷してきた五ノ井さんは判決後の取材に「３人には心から反省してほしい。今後同じような被害者を出さないような判決になって良かった」と話した。
　３人は免職前の昨年１０月、五ノ井さんに直接謝罪していたが、公判では「下腹部を接触させていない」「宴席で笑いを取るため腰を振った。性的意図はなかった」として、事件時の行動はわいせつ行為に当たらず無罪だと主張した。
　判決理由で三浦隆昭裁判長は、被告側の供述は「不自然不合理で信用できない」と指摘し強制わいせつ罪を認定した。
福島地裁前で取材に応じる五ノ井里奈さん＝１２日午後