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女性訴え後、業務契約を解除 第三者による調査せず 南城市長セクハラ疑惑


女性訴え後、業務契約を解除 第三者による調査せず 南城市長セクハラ疑惑 「体調不良に伴う業務不履行があったため」として、古謝景春市長名で女性に契約解除を通知した南城市の文書
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 南城市で「古謝景春市長(68)からセクハラを受けた」と、運転手を務めていた女性が訴えた後、契約を解除されていたことが分かった。古謝市長は疑惑を完全否定しているが、女性が申告した当初は「私はいつでも辞める覚悟です」というメッセージを女性に送っていた。今後、訴訟の場で事実関係が争われることになる。

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 市は昨年7月、「業務委託」の形で女性と契約を結んだ。契約期間は同年8月1日から今年3月末までで、契約終了の意思表示がない場合は、自動的に1年間更新される規定もあった。

 女性によると、業務を開始した昨年8月から言葉によるセクハラが始まった。同年12月9日夜、市長宅に着く寸前に突然、後部座席から女性の左脇の間に手を入れてきて胸を握ってきたという。このため、女性は昨年12月中旬、市幹部に「市長からセクハラを受けた」と申告。市長と2人きりになる運転業務への不安を訴えた。古謝市長は14日の琉球新報の取材に対し、「女性の肩をたたいただけ」と主張。胸を触ったことや言葉によるセクハラを否定している。

 ただ、古謝市長は女性が市に申告した後、深夜や早朝にSNSのメッセージ機能を使って、女性に「私はいつでも辞める覚悟です」という趣旨のメッセージを繰り返し送っていた。

 「残念です。すみませんでした」というメッセージもあれば、女性が裁判を起こした場合に女性の情報を「公表する」といったメッセージもあった。市長からの一方的な送信で、女性は恐怖を覚え、返信しなかったという。

 その後、市長から聞き取りを実施した総務部長が女性と面会。女性によると、総務部長は「(市長は)肩をたたこうとしたか、何か言おうとしたときに、胸に触れたという。(市長)本人は『不快な思いをさせたのであれば申し訳ないので謝りたい』と言っていた」と回答した。

 市長側の主張に対し、女性は「どうやったら肩から胸に(手が)いくのか」と反論。後部座席にいた市長の動きとして不自然な説明だと疑問を投げかけ、第三者を入れた調査や運転業務を続けられなくなったことの補償を求めた。

 しかし、市側は第三者による調査や賠償はしないことを女性に伝えた。古謝市長は取材に自らの判断と認めている。同年12月28日には、「体調不良に伴う業務不履行があり、今後も契約を継続することが不適当と認められる」とした古謝市長名の契約解除通知書を女性に渡し、同月末で契約を解除した。総務部長は14日の取材に「『胸に触れた』というのは自分の想像で言った」と話している。

(上江洲仁美、吉田健一、岩崎みどり、南彰)