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派遣医師ら支援継続訴え 能登地震 衛生や食生活 課題報告


派遣医師ら支援継続訴え 能登地震 衛生や食生活 課題報告 能登半島地震に関する被災地への医療支援について、継続した取り組みの必要性を訴える県医師会医療救護班の出口宝医師(中央)=12日、南風原町の県医師会館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震の被災地を支援するため県医師会が石川県へ派遣した同会医療救護班(JMAT沖縄)の第1陣が12日、沖縄に帰任した。南風原町の県医師会館で同日に開いた報告会で、班員は6日間の任務を振り返った。悪天候や交通アクセスの不便さが支援の支障になっている点や、断水による衛生環境の悪化、栄養の偏った食生活といった課題を共有。継続した支援の必要性を訴えた。
 JMAT沖縄の第1陣は、医師2人と看護師2人、薬剤師1人と事務員1人の計6人。

 班員は二つのグループに分かれ、一つは石川県庁内の保健医療福祉調整本部に入って災害に関する支援態勢を統括する任務に就いた。もう一方は志賀町富来地域を中心に避難所支援に当たった。

 調整本部で業務に就いた出口宝(しげる)医師は、能登半島の被災地が「高齢化率が多く、孤立しやすい集落があった」と説明。道路渋滞については「必要な車両を優先すべきだ」と支援に支障が出ていたことを明らかにした。

 「これから(の支援)がすごく大変になる」とも述べ、高齢者の心身の機能が低下する「フレイル」を懸念しながら沖縄から継続した支援が必要性との考えを示した。

 志賀町で活動に当たった洲鎌盛一医師は、町の医療支援態勢確立に尽力。新型コロナウイルスやインフルエンザの感染拡大を受け、宿泊施設に患者を収容してゾーニングを行うなど感染の封じ込めに務めた。「コロナも今回の災害も、弱いところに影響が出てしまう」と指摘し、高齢者ケアの難しさや重要性を改めて訴えた。(小波津智也)