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訓練場「計画ありき」に憤り 住民説明会、防衛省から明確な回答なし 環境悪化など懸念消えず 沖縄・うるま陸自訓練場計画


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 【うるま】うるま市の陸上自衛隊訓練場整備計画に関する初の説明会が11日開かれ、会場の石川保健相談センターは開始時刻を前にほとんどの席が埋まった。「(訓練地に向かう軍用車両の)経路をはっきり示してほしい」「影響はないと納得できる材料はあるのか」。生活環境の悪化を危惧する住民から絶え間なく質問が投げられたが、防衛省から明確な回答はなかった。

 予定時刻が30分を超えたところで説明会は強制的に閉会となり、住民らは不満げな表情で会場を後にした。

 説明会は整備地として検討されている旭区と、同区に隣接している東山区民が対象。1959年に起きた宮森小ジェット機墜落事故の経験者や親子で参加する人々もいた。環境への悪影響を懸念した旭区の女性(16)は、この日のために用意したメモを手に「訓練場ができれば、私たちの暮らしにとって良好な環境になるとは考えられない」と訴えた。

 住民の女性は「なんで沖縄だけに基地を造るのか。わが国の防衛のためと言うが沖縄は国民ではないのか。丁寧な説明というのは、住民と心を一つにすることではないか」と述べた。これに対し防衛省関係者は「もしものことが起きないように抑止力をしっかりと持つため、沖縄を含め、全国の場所で自衛隊の即応体制強化のお願いをしているところだ」と答えた。

 説明会の閉会が伝えられると「後日説明会はやるのか」などの声が上がったが、防衛省関係者らは深々と頭を下げることに徹した。参加者らは納得していない様子で席を立った。

 旭区の仲本裕介さん(33)は「造るにしても自分たちに実利があれば納得できる」と一定の理解を示すが、「防衛省は対話ではなく一方的に押しつけている印象だ」と建設反対の思いは揺らがなかった。

 東山区から参加した新垣宣道さん(36)は「説明会を開く順番がおかしい」と、計画ありきの防衛省の姿勢に「納得できない」と憤る。「その場しのぎの説明にしか見えない」と話した。

 (名嘉一心、金盛文香)