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高級腕時計 返却されず 相談100件超 シェア会社、突然解散


高級腕時計 返却されず 相談100件超 シェア会社、突然解散 トケマッチの仕組み
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ロレックスなどの高級腕時計を所有者から預かり、貸し出すシェアリングサービス「トケマッチ」の運営会社が1月末に突然解散した。1500本に上るとされる腕時計の一部は返却されておらず、フリーマーケットサイトに出品されたとの情報も。業界団体には100件以上の相談が寄せられており、所有者は「腕時計はどこへいったのか」と不安を募らせる。
 運営会社「合同会社ネオリバース」(大阪市)のホームページ(HP)などによると、トケマッチは2021年1月に開始。腕時計の査定額に応じた使用料を所有者に毎月支払い、利用者からレンタル料を受け取る仕組みで、23年8月には時計の総数が1500本に達したとしていた。
 ところが今年1月31日、「諸般の事情」を理由にHPで突然解散を発表した。腕時計は6カ月を目安に返却するとし「代理人が決まり次第、個別に連絡する。深くおわび申し上げる」などと陳謝した。
 だが、約70万円で購入したロレックスを預けた愛知県の40代男性には連絡がない。毎月約1万9千円が振り込まれ、数年で利益が出るはずが「腕時計の所在も分からない」と憤る。埼玉県の30代男性会社役員が預けたロレックスやグランドセイコー計3本も未返却。就職祝いで父親が買ってくれた物もあるが、「諦め半分」と唇をかんだ。
 同社が加盟していた業界団体「シェアリングエコノミー協会」には、2月21日時点でトケマッチに関する相談が計118件寄せられた。腕時計が返ってきたという情報がある一方で、預けた物と同じシリアルナンバーが記載された腕時計がフリマサイトに出品されたという相談もあった。
 シェアリングサービス インターネット上のプラットフォームを介して乗り物や住居、服など個人の資産や能力を他の人と分け合うサービスの総称。空き家などを貸す民泊や自家用車に客が相乗りするライドシェア、共有オフィスのほか、個人の時間や能力を有効活用する副業も含まれる。業界団体「シェアリングエコノミー協会」によると、2022年度の国内市場規模は約2兆6千億円に上る。