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子の検索履歴、閲覧撤回 世田谷区、学習端末巡り 「検閲のよう」批判受け


子の検索履歴、閲覧撤回 世田谷区、学習端末巡り 「検閲のよう」批判受け 検索履歴閲覧のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東京都世田谷区教育委員会が昨年、児童生徒の学習用デジタル端末の検索履歴を学校側が閲覧できる機能の活用を検討し、区議会で「検閲のようだ」との指摘を受け撤回していたことが25日、分かった。不適切サイトへの接続を防ぐフィルタリングソフトに備えられた機能で、販売元によると、このソフト自体は昨年9月時点で全国の市区町村教委の4割以上が導入している。
 教員らによる履歴閲覧は、インターネットでのいじめや悩みの早期発見に役立つと指摘される一方、プライバシー侵害の恐れもあり、活用を巡って議論を呼びそうだ。
 ソフトの名称は「アイ・フィルター」で、情報セキュリティー企業「デジタルアーツ」(東京)が販売する。同社によると、設定によって個別の児童生徒の検索語句を把握することなどが可能。この機能を使う教委もあるが、詳細な利用状況は集計していない。
 世田谷区教委などによると、昨年6月の区議会文教常任委員会で、一部の区立小中学校へのソフト導入方針を説明。子どもがネット検索する際に使われやすい言葉を区教委で集計、分析する目的で利用するとした。
 これに対し、トランスジェンダーと公表している上川あや区議は「軽率に個人の内心に関わることを把握しようとしているのでは」と批判。性的指向や性自認に悩む子どもが周囲に相談できず、ネットで情報を集めた内容も学校側にのぞかれる恐れがあるとした。