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1億3000万円 使途明細なし 自民茂木氏、棚橋氏後援会


1億3000万円 使途明細なし 自民茂木氏、棚橋氏後援会 棚橋元国家公安委員長を巡る政治資金の流れ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党の茂木敏充幹事長の資金管理団体から寄付を受ける政治団体「茂木敏充後援会総連合会」と、棚橋泰文元国家公安委員長の政党支部や資金管理団体から寄付を受ける同「棚橋泰文後援会連合会」で2020~22年、使途の詳細が分からない支出がそれぞれ全体の97%超、2団体で計1億3500万円以上あったことが25日、政治資金収支報告書で分かった。
 政治資金規正法は「国会議員関係政治団体」について、人件費を除く1万円超の支出全てで使途を報告書に記載するよう義務付けている。資金の移転元となった両氏の政党支部や資金管理団体は、この関係団体に該当。しかし、移転先の二つの後援会は関係団体ではなく「その他の政治団体」になるため、支出の公開基準が緩く、政治資金の流れが事実上チェックできない状態になっている。規正法の「抜け穴」が改めて露呈した形だ。
 二つの後援会は、いずれも議員本人が代表を務める資金管理団体と同じ所在地にあり、会計責任者や連絡先も同じ。収入のほぼ全ても、両氏の資金管理団体と政党支部からの寄付となっている。
 収支報告書によると、茂木敏充後援会総連合会は、20~22年の総収入が計9656万円。資金管理団体「茂木敏充政策研究会」からの寄付が計9650万円で99・9%を占めた。支出は3年分で計9585万円、一部の会合費や印刷費を除き、98・1%に当たる9406万円の使途明細が明らかになっていない。
 棚橋泰文後援会連合会は、20~22年の収入が計8千万円。自民党岐阜県第2選挙区支部からの寄付が計2100万円、資金管理団体「21世紀を拓く会」からの寄付が計5900万円で、収入の100%だった。支出は3年分で4301万円、会場費などの一部を除き、97・4%に当たる4191万円の使途明細が明らかでない。21~22年分は、使途明細が書かれた支出は一件もなかった。
 茂木氏の事務所は取材に「後援会総連合会は国会議員関係政治団体ではない。規正法にのっとり、その収支を報告している」としたが、使途の詳細などについては回答しなかった。棚橋氏の事務所にも質問状を送付したが、返答がなかった。
 茂木敏充後援会総連合会を巡っては16~19年も、同様に使途の詳細が分からない支出が1億2千万円以上あったことが分かっている。