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ハンセン病回復者 半生描く 岡山で映画「かづゑ的」試写会


ハンセン病回復者 半生描く 岡山で映画「かづゑ的」試写会 国立ハンセン病療養所「長島愛生園」で行われた特別試写会に登壇した、宮崎かづゑさん(右)と熊谷博子監督=26日午後、岡山県瀬戸内市
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 岡山県瀬戸内市の国立ハンセン病療養所「長島愛生園」で26日、入所するハンセン病回復者の宮崎かづゑさん(96)の半生を描いたドキュメンタリー映画「かづゑ的」(熊谷博子監督)の特別試写会が開かれた。上映後、登壇した宮崎さんが「弱い足と体で砂漠を歩き、長い人生を切り抜けてきた。飾らない日常を伝えたい」と語った。映画は3月2日から那覇市など全国で順次公開される。
 宮崎さんはハンセン病にかかり、10歳で入所した。病気の影響で手の指や足を切断し、視力もほとんどない。園では、78歳でパソコンの使い方を覚え、80歳を過ぎてエッセー「長い道」「私は一本の木」を出版。新しいことに挑戦する姿や、みずみずしい筆致が多くの人を引きつけている。
 熊谷監督は2016年から愛生園に通い始め、8年間、宮崎さんの暮らしを撮影した。熊谷監督は「差別や偏見が故に見えなくなっている回復者の日常を映し、かづゑさんそのものを描いた」と話した。宮崎さんは「懸命に生きてきた。隔離されてかわいそうだと思わないで」と力を込めた。