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歌三線に追悼込め 福島から避難の佐藤さん


歌三線に追悼込め 福島から避難の佐藤さん 東日本大震災の犠牲者を歌三線で追悼する佐藤基繕さん(右)=11日、浦添市内間
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2011年の東日本大震災から13年となった11日、浦添市にある県内被災者らの交流団体「沖縄じゃんがら会」で、震災犠牲者を歌三線で追悼する取り組みが行われた。福島県南相馬市から浦添市に移り住んだ佐藤基繕さん(66)が宮古民謡を披露し、犠牲者のみ霊を慰め被災地の復興を祈った。
 佐藤さんは宮城県仙台市出身で、震災時は福島第1原発に近い南相馬市に住んでいた。震災による津波で原発施設が損壊し、放射性物質が大気に放出された。佐藤さんは避難を余儀なくされ、11年5月に沖縄に移り住んだ。沖縄で生活する中で民謡やエイサーに引かれ、三線に興味を持った。14年ごろに独学で弾き始め、その後、宮古民謡を本格的に習い始めた。じゃんがら会の関係者に三線を教える活動のほか、18年ごろから3月11日に歌三線で追悼している。この日は、共に宮古民謡を研究する高里盛茂さん(70)=浦添市=と「なりやまあやぐ」「豊年の歌」などを披露した。
 震災について「死に直面した」と話す佐藤さん。「死が身近にあることを考えると、後悔せずに人生を全うしたい。(3月11日は)その思いを改めて考える日になっている」という。そして「3・11」を沖縄でも教訓として伝え続けるよう要望した。 (小波津智也)