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4道県が金属盗防止強化 被害多発地域で条例改正も


4道県が金属盗防止強化 被害多発地域で条例改正も 金属類の売却を防ぐための条例の整備状況
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 銅線やアルミフェンス、給水バルブなど盗まれた金属類の売却を防ぐための都道府県レベルの条例について、共同通信が全国の警察に聞いたところ、茨城など4道県が近年規制を見直したか、今後改正や新設で規制強化する予定であることが分かった。関東を中心に被害が増加していることが背景にあり、専門家は「少なくとも被害増の地域は対策を検討すべきだ」と指摘する。
 盗品の売買を防ぐ規制として古物営業法もあるが、そのまま中古品として流通するのではなく、溶かすなどして形を変える金属類は対象外。自治体によっては金属類を対象とした条例を定めている。宮城、栃木、群馬の3県は、条例の新設予定はないとしながらも「被害が増えており今後検討する」と前向きな姿勢だった。
 条例があるのは16道府県。このほか、過去にあったが「被害が減った」として廃止した所もある。条例の有無にかかわらず沖縄など43都府県は規制強化の予定なしと回答。金属盗の目立った被害が見られず「必要性がない」などの理由が多かった。
 警察庁によると、昨年の金属盗の認知件数は全国で約1万6千件。2020年の約3倍だ。金属価格の高騰が一因とみられ、関東が半数以上を占める。4道県のうち岐阜県では13年、帳簿の保存や売り手の身分確認を義務付ける条例を制定。北海道は17年、営業の許可や取り消しの基準を厳しくするなど内容を見直した。「被害増加が理由ではなく、条例が古く実態とそぐわないため」と説明している。茨城県は、売り手の身分証の写しを保存することを義務付ける条例改正案を検討中。千葉県も新設する方向だ。岐阜県の条例制定に関わった朝日大の大野正博教授(刑事法)は「一部地域では金属盗の被害が無視できない規模になっている」と指摘。「危機感を持って策を講じるべきだ」と訴えた。