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「摂取やめ回復」複数例 紅麹サプリ 被害公表前、医師ら診断


「摂取やめ回復」複数例 紅麹サプリ 被害公表前、医師ら診断 「紅こうじ」サプリを巡る問題で記者会見し、謝罪する小林製薬の小林章浩社長(左から2人目)=3月29日、大阪市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小林製薬の「紅こうじ」を使ったサプリメントによる健康被害問題で、同社が問題を公表する以前に、体調不良となった利用者が医師の診断や自己判断で摂取を中止したところ、回復した事例が複数あることが7日、各自治体や日本腎臓学会への取材で分かった。摂取をやめたため重篤化せず入院に至らなかったとみられるケースもあった。
 健康被害の原因の詳細はまだ調査中とされているが、早期の情報開示がされれば被害を抑えられた可能性もある。小林製薬が健康被害を認知してから公表までに要した約2カ月の間にも、摂取を続けた利用者がいるとみられ、対応遅れの問題が改めて問われそうだ。
 3月下旬に行った各自治体への取材では、同社の「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」に関し、「40代女性が昨年8月から服用、12月に頭痛や倦怠(けんたい)感があり、今年2月に服用をやめたら自然治癒した」(石川県)。「1人が、1カ月ほど服用したところ倦怠感などの症状が出た。やめたところ回復し、入院などには至らなかった」(三重県)という報告があった。
 また、群馬県でも小林製薬の紅こうじ成分入り食品を食べた1人が体調不良となり医療機関を受診、摂取をやめたところ回復したという。
 また日本腎臓学会が行った独自調査では、腎障害を確認した患者の治療内容は「4分の1がステロイド治療、4分の3は摂取の中止のみだった」という。
 学会は摂取を中止した上での医療機関の受診を呼びかけている。
 小林製薬によると、最初に被害の連絡があったのは1月15日で、2月6日には複数人の健康被害が社長に報告されたが、公表したのは3月22日だった。関連する死者5人のうち、少なくとも1人は2月に死亡した。
 小林章浩社長は3月29日の記者会見で、公表時期について「会社のガイドラインや社外の弁護士の意見も踏まえて判断した。遅かったという指摘を受け反省している」と述べている。