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多忙、倒産、借金…苦難超え31年ぶりに出場 宮古島トライアスロン 沖縄


多忙、倒産、借金…苦難超え31年ぶりに出場 宮古島トライアスロン 沖縄 宮古島の児童が描いた絵を手に笑顔を見せる塚越寿也さん(右)と渡辺真理子さん=13日、宮古島市下地の宮古島東急ホテル&リゾーツ(喜瀨守昭撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 西田 悠

 東海地方を拠点に活動するトライアスロンチーム「伊良湖アトムズ」メンバーの塚越寿也さん(61)=愛知県=は1993年の第9回大会出場以来、31年ぶりに出場する。仕事の忙しさや困難により「トライアスロンどころではなくなっていた」と年月を振り返り、レースに熱中した若き日の自身を追いかけるように、完走を目指す。

 初めてトライアスロンにふれたのは85年、宮古島での第1回大会だった。テレビでたまたま見かけ、「先が見えないレースに挑む選手に憧れた」。約3年後には愛知県伊良湖でハーフディスタンスの大会に出場し、その後仲間とともにアトムズを結成。92年には念願の宮古島大会出場を遂げ、完走を果たした。

 大会パンフレットでゼッケン番号を照らし合わせ、選手の名前を呼び声援を送る住民の歓迎ぶりには驚かされた。最後は涙が止まらなくなり、ゴール地点の観客からは「おかえり」と迎えられたことを覚えている。

 翌93年の出場後は仕事が忙しくなり、競技生活から遠のいた。その後、同僚とともに独立し、別の会社を立ち上げたが、15年ほどで倒産。当時は多額の借金に苦悩した。

 31年ぶりの出場に「はっきり言って先は見えない」と苦笑いしつつ「とにかくゴールすることが目標」と前を向く。

 今大会の相棒はアトムズのメンバーの渡辺真理子さん(56)=愛知県。福井県出身の渡辺さんは、マラソン仲間とTシャツを制作・販売し、売り上げの一部を能登半島地震の義援金として石川県に贈っている。それぞれの思いを胸に2人そろっての完走を目指す。
  (西田悠)