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里親登録抹消で提訴 委託解除在り方改善訴え 三重・津地裁


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 里子への虐待があったとの誤った事実認定を基に、三重県の児童相談所が里親登録を抹消したのは違法として、同県名張市の親子が30日、県に処分の取り消しと2200万円の損害賠償を求め津地裁に提訴した。
 訴状などによると、原告の松山健さん(79)と妻(65)は2009年から男子高校生(16)を、13年からは男子中学生(13)を里子として養育していた。22年3月、児相は高校生へ暴言などの虐待があったとして2人を一時保護し、里親委託を解除。同4月に夫婦の里親登録を抹消した。夫婦はその後、高校生と養子縁組を結んだ。中学生とは現在も会えない状態が続いている。
 原告の松山さんは、那覇市の小橋川学さん(59)が会長を務める「里親家庭のあすを考える会」の会員で、この日の提訴には同会の会員2家族が付き添った。
 同会には全国の16家族が参加。児童相談所による里親の委託解除が適正に行われていないとして改善を求めている。ほかにも提訴を準備している家族が複数あるという。
 小橋川さんは「子どもにも里親にも、きちんと聞き取りをしないまま委託を解除するケースが全国で起きている。親権がない里親は、これまで黙らざるを得なかった」と制度の問題点を指摘。「児童相談所は、子どもの幸せを第一に判断すべきだ」と訴えた。