有料

患者側発言の音声切る 水俣病、環境相との懇談で


患者側発言の音声切る 水俣病、環境相との懇談で 伊藤環境相との懇談で発言する水俣病患者連合の松崎重光副会長=1日、熊本県水俣市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 水俣病が公式確認から68年となった1日、患者らでつくる8団体と伊藤信太郎環境相との懇談が熊本県水俣市で開かれた際、団体側の代表者らの発言中、進行役の環境省職員によってマイクの音が消されたため、会場内から「話を聞いて」などと叫ぶ声が相次ぎ、一時紛糾する場面があった。
 「『痛いよ痛いよ』と言いながら死んでいきました」。妻が昨春に亡くなったと語る水俣病患者連合の松崎重光副会長の発言が3分を超えると、環境省職員が「時間なのでまとめてください」と話を遮った。すぐに音が切られ、マイクを取り上げられた。他にも数人が同様の対応を受けた。
 環境省側は各団体の持ち時間を3分と設定していた。見かねた別の団体が「時間を譲ります」と伝え、自らの発言機会を譲る場面もあった。
 懇談後、団体側からは「意図的にマイクを切ったのか」と怒号が飛んだが、環境省の担当者は「不手際だった」との釈明を繰り返した。伊藤氏は「マイクを切ったことを認識しておりません」と話し、「認識できたでしょ」との抗議の声が上がる中、会場を後にした。
 伊藤氏は懇談後の会見で「意図的に切ったのかは知らない。発言は全て聞き取りメモをした。一度の懇談で全てを聞くことができないので、これからも機会を見て話を伺いたい」と述べた。
 懇談は犠牲者慰霊式が営まれた後、環境相が当事者の声を聞く場として設けられた。1団体3分とする発言時間は例年通りといい、環境省側は伊藤氏の帰りの新幹線などの出発時間を理由に挙げた。