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投票で社会変わるの? 身近な課題「若者も意思表示を」 沖縄大で主権者教育


投票で社会変わるの? 身近な課題「若者も意思表示を」 沖縄大で主権者教育 主権者教育の講義で玉城直美さん(右)の説明に耳を傾ける学生たち=4日、那覇市の沖縄大学
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 選挙の投票率が年々低下し、とりわけ若者世代の選挙離れが進んでいる。16日投開票の県議選を前に、SDGs(持続可能な開発目標)の視点から若者の行動に変化を起こそうと、主権者教育の講義が4日、那覇市の沖縄大学で開かれた。事前アンケートで、学生たちは投票行動を呼び掛けることについて42・4%が「個人の力で何が変えられるのか」と答え疑問視した。選挙と社会課題の解決が結び付かないように見えたが、講義を通して「自分で社会や国を変えられると思う」との回答が9割に増え、意識に変化の兆しが見られた。 

 県選挙管理委員会のまとめによると、選挙権年齢が18歳に引き下げられた2016年以降、県内で実施された県議選、知事選、国政選挙などにおける10代の投票率は37~47%と過半に達していない。20代は18年の県知事選で44・9%と4割を超えた以外は30%台と低迷している。20代は10~80代の年代別で最も低い。

 学生たちは投票について「選び方が分からない」(33・3%)、「若者の意見が尊重されていない」(27・3%)、「政治の話をしてはいけない雰囲気がある」(15・2%)などと回答した。

 講義は非常勤講師で社会起業家の玉城直美さん(50)が担当する国際コミュニケーション学科3、4年対象の講義「国際開発とSDGs」の一環。20代前半の学生が主で、身近な社会課題についてどのように解決できるかについて取り組む講義だが、受講する学生のうち約3割が投票の機会があっても投票に行ったことがなかった。

 玉城さんは「若者にも失業問題や妊娠出産、学び続けやすい環境整備などさまざまな課題があるが、投票に行かない人が多い」と指摘。若い世代の投票率が低いと、政治家が投票率の高い高齢世代に向けた政策に取り組むことになるとして「政治家にこの課題に取り組んでほしいと、投票で意思表示することが大切だ」と学生たちに語った。

 講義では、香港の民主化を求めた14年の大規模デモ「雨傘運動」や、県内ではPFAS(有機フッ素化合物)問題に取り組もうと出馬し当選した議員の映像も上映した。

 講義後は「自分で社会や国を変えられると思う」との回答が5割から9割まで増えた。感想には「若者が選挙に後ろ向きな気持ちがあってその結果若者に良くない社会ができあがっていると思った」との記述も。国際コミュニケーション学科3年の中塚静樹さん(20)は「投票に行き意思表示することと、持続可能な社会へ変えていくことが、今回の講義を聞いてつながった」と話した。

 玉城さんは「社会を変えられると感じることは自己肯定感でもある。一度でも情報に接する機会があれば若者の意識は変わる」と力を込めた。

 (慶田城七瀬)