沖縄県主催のシンポジウム「若者が考える基地と沖縄―みんなで学ぶ米軍基地問題」が6月30日、宜野湾市の沖縄コンベンションセンター会議場で開かれた。日米地位協定が抱える問題のほか、知人との間で基地問題が語りづらくなっているとの意見が相次いだ。対話を促す環境づくりの重要性が指摘された。
会議には60人が参加。琉球大教育学部の北上田源准教授と玉城デニー知事による「基地と私」と題した報告の後、参加者らはチームに分かれて基地がもたらす課題や解決策を話し合った。
シンポの冒頭で北上田氏は、平和教育で基地問題を扱っているかを問うた県教育委員会実施のアンケートで、扱っていると回答したのが870校(3年分の回答校数)中、30校以下だったと説明。北上田氏が教員から背景を聞いたところ、保護者が基地従業員や米兵の生徒もいたり、意見が分かれる政治的な問題について扱いにくい、保護者から何を言われるか分からない、といった話があったという。
学生からも、基地問題について意見が異なると「反論されそうで怖い」「思いを発信しても変わらない」などといった諦めの声があるとした。
北上田さんは2004年に発生した沖縄国際大ヘリ墜落事故を振り返り「事件・事故が起きると自分の友人、知人に何かが落ちるかもしれないということだ。それが分かった上で振り返ると、見方が変わる」と指摘した。
参加者によるワークショップでは、特に若者が声を上げづらい要因として「基地問題を巡る対立が強いイメージがある」といった意見や、「将来のキャリアに与える影響を懸念」する声もあった。解決策として、基地問題全般への賛否ではなく、一つ一つの問題と向き合う必要性や、対話の場を設けることなどが提案された。
(知念征尚)