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「1%の可能性信じた」/「よく頑張った、左手」/6位でも「幸せ」 アスリート紡いだ言葉


「1%の可能性信じた」/「よく頑張った、左手」/6位でも「幸せ」 アスリート紡いだ言葉 卓球女子シングルスで銅メダル獲得を決め、感極まる早田ひな=3日、パリ(共同)
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 パリの大舞台で、日本選手はさまざまな喜怒哀楽の表情を見せた。「1%の可能性を信じた」「神様にいじわるされるなんて」。血のにじむような鍛錬を重ねてきたからこそ、選手たちが残す言葉には重みがある。
 「地獄のような3年間だった」。スケートボード男子ストリートの堀米雄斗(25)は初代王者となった東京五輪後に結果が出ず、ぎりぎりで代表に滑り込んだ。パリ最後のトリックで全選手の最高点をたたき出し、大逆転で連覇。「1%の可能性を信じて、最後に実った」と感無量だった。
 柔道女子52キロ級の阿部詩(24)は兄の一二三(27)と兄妹での五輪連覇に挑んだ。だが2回戦でまさかの一本負け。泣き崩れた前回王者に、客席からは「ウタ、ウタ」のコールと拍手が湧き起こった。混合団体で一本勝ちすると笑顔が戻り、「五輪の舞台で必ずリベンジする」。
 体操男子の橋本大輝(23)はけがで万全の状態ではない中、団体総合で金メダルを獲得。連覇を狙った個人総合は6位に終わったが「けがをしてここまで戻った。団体の金だけでおなかいっぱい。悔しい気持ちより、幸せすぎて涙が出ちゃった」とすがすがしかった。
 卓球女子の早田ひな(24)はシングルスの準決勝直前にラケットを握る左手を痛めた。「神様にこんなタイミングでいじわるされるとは思わなかった」。テーピングを施し、痛み止めを服用して3位決定戦のコートに。フォアハンドを駆使して勝利を手にすると、しゃがみ込んでおえつを漏らした。「よく頑張った、左手」。自身をねぎらった。
 女子やり投げ金メダルの北口榛花(26)は4月、5月に上半身が硬直する経験のない症状が出たが、乗り越えた。「本当に不安だったが、苦しみからも解放された。うれしいという言葉だけじゃ足りないぐらい幸せ」
 金メダルの大本命だったレスリング女子50キロ級の須崎優衣(25)は初戦で苦杯をなめた。「みんなの努力も無駄にしてしまった。申し訳ない」と絞り出した。気持ちを切り替えて手にした銅メダル。「オリンピックチャンピオンの須崎優衣じゃなかったら価値がないと思っていた。負けたのに励ましてくれた方々に感謝したい」と言葉を紡いだ。