2023年12月に発生した米兵少女誘拐暴行事件で、わいせつ誘拐、不同意性交の罪で起訴された米空軍兵長被告(25)=嘉手納基地所属=の第2回公判が23日、那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)で開かれた。検察側証人として被害に遭った少女が出廷し、「逆らうのが怖かった」などと証言。被告からの性暴行を「やめて」「ストップ」と拒否したとも明かした。
被告側が「18歳と認識」などと主張し、公判での争点となっている年齢の認識を巡っては、16歳未満である自身の実年齢を被告に対して「日本語だけでなく英語でも伝えた」と明かした。
同被告は7月の初回公判で、少女の年齢を18歳と誤信した上で、性行為への同意があったとして無罪を主張していた。
検察側の証人尋問で少女は、被害当時の状況を詳細に証言した。証言によると、少女は23年12月24日午後4時すぎ、公園のベンチに座っているところを同被告に声を掛けられた。指のジェスチャーも交えて実年齢を伝えると、同被告は「自分の指を折り曲げて1、2、3、4と数え始めた」とし、自身の年齢を「19歳」と詐称したという。
主なやり取りは、スマートフォンの翻訳アプリで行った。少女は23年7月に、面識のない外国人男性に性被害を受けた経験があり、面識のない男性に恐怖心を抱くようになったと打ち明けると「軍の特別捜査官だから、そんなことしない」と説明。銃を持つ写真を示した上で車に誘い込んだ。
車で同被告の自宅に連れ去られるまでの心境について「断ると何かされるのではないかという恐怖心があった」などと述べた。事件後に不眠となり、自傷行為をするようにもなったと説明。同被告に対して、「自分が犯してしまった罪の重大さをわかってほしい」と訴えた。
被告側は尋問で、少女の証言と供述調書の内容との矛盾を指摘するなどし、少女の証言の信用性について争う構えを見せた。
午前10時からの公判は抽選となり、30席ある傍聴席に203人が列を作った。地裁は、証人尋問に当たって少女のプライバシー保護のために傍聴席と被告側の間に遮蔽(しゃへい)板を設置し、少女の母親の証人尋問も行われた。
第3回公判は30日に行われ、被告人質問が予定されている。