27日投開票の衆院選に合わせて、県内の飲食店やリサイクルショップが投票を済ませた人を対象に割引などのサービスを受けられる「選挙割」を企画している。店主らは選挙への関心を高め投票率の向上につなげようと、それぞれの取り組みに一票への思いを込める。
■半額や開票イベント
那覇市壺屋のカレー屋タケちゃんは、26、27の両日、2種あいがけとシングルのタケちゃんカレーを1人一皿に限り半額で提供する。店主の仲嶺豪晃(たけあき)さん(42)は宜野湾市出身。9月の市長選で期日前投票をした時に、投票率の低さを知り、選挙を盛り上げたいと初めて企画した。交流サイト(SNS)で発信したところ「面白い」と好反応だったため、衆院選も取り組むことにしている。
物価高騰により食材などの仕入れ値が上昇する一方で、客が昼食に支払う金額の相場を考えると簡単に値上げができない現状もある。飲食店としては半額に踏み切るのも勇気が要るが「選挙や政治に関心がない人が興味を持つきっかけをつくるために、自分にできるのはこれだった」と話す。「実際に行動を起こして、みんなが楽しくなることをしたら、社会は変わっていくのではないか」と期待を込めた。
投開票日には店内で開票速報をウオッチするイベントが開かれる予定で、仲嶺さんも参加する予定だ。
■コラボでサービス
北谷町浜川のカフェ「六屯(ろっとん)」は好きなコーヒー一杯無料、嘉手納町兼久にあるリサイクルショップ「OKI HANDS OKI HEARTS(オキハンズ オキハーツ)」は全商品半額のサービスを投票した人に提供する。両店合同の取り組みで共通チケットを配布し、投票した人にそれぞれのサービス内容を案内する。
売り上げを児童養護施設の卒園者支援に充てている「オキハンズ オキハーツ」は以前から選挙割に取り組む「六屯」に相談し、合同で初めて取り組むことになった。
子育てや貧困の現場を見てきた「オキハンズ オキハーツ」の佐久川恵マネジャーは「行政・政治が変わらないと子どもが救えない」との思いがある一方で「一票で何も変わらない」という声も多く聞く。「今、変わろうと思えば変わる」と投票を呼びかけた。
六屯の小坂弓絵さんは政治や選挙について「『分からない』というのは当たり前。一緒に考えて『分かる』にしていこう」と話した。
(金盛文香、慶田城七瀬)