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新聞販売店主とモデルの二刀流 「ありがとう」支えに 沖縄の東風平二販売店 金城竜志さん 


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄全域をカバーする琉球新報販売店は、毎日確実に読者の元へ新聞を届けるのが大きな役割だ。さらに、自ら築いたネットワークを生かし、多様な読者サービス、各種イベント、地域貢献活動も行っている。その中のひとり、販売店とモデル業の二刀流を実践する若手店主を紹介する。

配達用のバイクでモデルポーズを決める金城竜志店主=2022年12月14日午後、八重瀬町東風平

 スラッとした長身と甘い顔立ちに思わず見とれてしまう。東風平二販売店(八重町東風平)の店主、金城竜志さん(37)は「メンズノンノ」など人気のファッション誌や、有名ブランドのモデルとして活躍した異色の経歴を持つ。東風平二の他にも五つの販売店を経営し、十数人の従業員を抱え多忙を極める毎日だが、今でもモデルとして撮影のために2カ月に一度のペースで東京に通っている。

 糸満市三和の出身。物心ついた頃から洋服が好きで、パリコレなど海外で活躍するトップモデルの姿に憧れ、高校生の時には「絶対、モデルになる」と強い夢を抱く。

金城竜志店主がモデルとして活躍していた当時の宣材写真

 地元の高校を卒業後、県内のモデル事務所に所属することになり、モデルのポーズや歩き方、心構えなど本格的なレッスンを受けた。事務所には俳優の比嘉愛未さんも所属していた。1年間の下積みの後に東京の系列事務所に移籍することに。上京の日はちょうど20歳の誕生日だった。「やる気にあふれていたが、不安もあった」と振り返る。

 上京から1年後、金城さんは男性ファッション誌「メンズノンノ」と大手ブランド・クリスチャンディオールのタイアップ企画に抜てきされた。「うれしかった。撮影は緊張しっぱなしだったけど…」と笑う。この出演が転機となり、他のファッション誌やブランドからも出演依頼が継続的に入るようになる。以来13年間、モデル業界の一線で活躍し続けた。

販売店主への転職は、東風平二販売店前店主・伊集啓子さん(71)の高齢による引退がきっかけだった。金城さんの母・千春さんが糸満市新垣で販売店主をしていることもあり、金城さんに打診があった。しかし、すでに東京での生活は13年。結婚し妻の裕子さんとの間には娘もいた。新天地での生活に悩んだ金城さんだったが、背中を押したのが、沖縄好きの裕子さんだった。「モデルの仕事が減ってきたこともあり、子育てするのに沖縄が良いと思った」と語る。

2019年4月。縁のない土地で、モデル業とかけ離れた仕事は当初から苦労の連続だった。特に地域に受け入れてもらうことが大変だった。「集金を2年間続けたことで徐々に顔を覚えてもらった」と真剣なまなざしで語る。

販売店主とモデルの二刀流で活躍する金城竜志店主=2022年12月15日午前、八重瀬町東風平の東風平二販売店前

 今では地域の人たちとのあいさつや会話を楽しむ。夜も明けきらない中での配達は大変だが、読者から「毎日、ありがとう」と声をかけられ、「誰かの役に立っている」とやりがいを感じている。

 六つの販売店のやりくりは妻・裕子さんが支える。裕子さんは東京では港区青山の一等地で美容師として活躍していたが、販売店では経理や事務一切をこなし、夫婦二人三脚で店を切り盛りする。

今後の目標を問うと、「販売店もモデルも目の前の仕事に対して一生懸命取り組むだけ。前店主の伊集さんが築いた基盤をしっかり守っていきたい」と前を向いた。最近、東京で活動していた頃よりも撮影が楽しめるようになった。これからも二刀流への挑戦は続く。

(當眞正武)

 

金城竜志店主がモデルとして活躍していた当時の宣材写真
配達用のバイクでモデルポーズを決める金城竜志店主=2022年12月14日午後、八重瀬町東風平
金城竜志店主がモデルとして活躍していた当時の宣材写真
販売店主とモデルの二刀流で活躍する金城竜志店主=2022年12月15日午前、八重瀬町東風平の東風平二販売店前

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配達用のバイクでモデルポーズを決める金城竜志店主=2022年12月14日午後、八重瀬町東風平

 

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