沖縄県の名護市安部の沿岸部に米軍普天間飛行場所属のMV22オスプレイが墜落して13日で7年を迎えた。近年では、沖縄県だけでなく、鹿児島県の島しょ部でもオスプレイの訓練が激化する中で緊急着陸も相次ぐが、米側は原因を明かさない。11月には米空軍仕様のCV22オスプレイが鹿児島県・屋久島沖に墜落。オスプレイの安全性に対する懸念が改めて高まっている。
米軍や自衛隊は沖縄の周辺でオスプレイの活動を拡大させている。従来は海兵隊のMV22が配備されている普天間飛行場を拠点に、北部訓練場や伊江島補助飛行場などでの訓練が中心だったが、米軍那覇港湾施設(那覇軍港)でも離着陸や訓練をするようになった。
嘉手納基地には、横田基地所属のCV22に加え、海軍CMV22の飛来も増えている。11月に墜落したCV22は岩国基地から嘉手納基地に向かっている途中だった。
徳之島(鹿児島県)では2022年11月と今年3月に実施された日米合同訓練に日米のオスプレイが参加。今年10月の日米共同訓練では沖縄県内に初めて陸自のV22オスプレイが飛来し、民間の新石垣空港に着陸した。現在、全世界で飛行が停止されているが、日米両政府は今後も県内などでのオスプレイ訓練をさらに拡大する構えだ。
県によると、9月には新石垣空港に2機、鹿児島県の奄美空港に3機、大分県の大分空港に1機、10月に徳之島空港に1機が緊急着陸した。九州防衛局長は原因に関する情報を提供するよう文書で要請したが、米側は原因を回答していない。11月に墜落したCV22も、レーダー消失の約10分前に屋久島空港への緊急着陸を国土交通省鹿児島空港事務所に打診していたという。
オスプレイは12年の県内配備前からエンジン停止時に軟着陸する「オートローテーション(自動回転)機能」の欠如など構造上の問題が指摘されていた。全41市町村長が反対する中、配備が強行された。
16年の名護市安部沿岸部での墜落事故の原因は、オスプレイの回転翼と空中給油機の給油ホースが接触したことだった。一般的に空中給油には高い操縦技術を要するが、給油管と回転翼の距離が近いオスプレイは構造上、さらに難しいとされる。 (明真南斗、知念征尚)