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機能強化の可能性 「現有機能維持」定義で違い


機能強化の可能性 「現有機能維持」定義で違い 1978年の琉球新報に掲載された那覇軍港の写真。漁船や貨客船でにぎわう手前側と比べ、奥の軍港は空いている
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港)について、米軍は2003年以降、使用回数を明らかにしていない。浦添移設後の「代替施設」の機能は定まっておらず、機能強化の可能性は否定できない。米軍は沖縄の日本復帰前から浦添地先への移設を計画していた。米軍にとって使い勝手が向上すれば、県全体の基地負担も増す恐れがある。
 米軍が復帰前に立てていた移設計画は、米陸軍から委託された民間の調査会社が1969年にまとめた報告書と米軍間の電報文で判明。米軍は電報文で移設を検討する理由の一つとして、大きな船を接岸できるようになることを挙げていた。
 那覇軍港の水深は約10メートルにとどまるが、移設先の浦添沖は水深がより深いと想定される。整備方法によっては大型船が入港できるようになる。
 移設を進める政府や県などは機能強化を否定するが、その根拠とする「現有機能の維持」の定義が政府と県で食い違っており、定まっていない。そもそも2003年以降は米軍が軍港の使用回数を明らかにせず、使用実態が不透明だ。
 ベトナム戦争時は軍艦が頻繁に那覇軍港を使用した。87年には96隻が使用したが翌年から減少傾向が続き、最後の公表となった02年には35隻まで減った。 (明真南斗)